精密健康学:ウエアラブルデバイスと日常的に使われる血液バイオマーカーからインスリン抵抗性を予測する
Nature 652, 8109 doi: 10.1038/s41586-026-10179-2
インスリン抵抗性(IR)は2型糖尿病の主要な前駆症状であり、組織におけるインスリン作用の低下が特徴である。しかし、診断法はいまだに高価で利用しづらく、このことが早期介入の妨げとなっている。本論文で我々は、遠隔で実施された大規模なIR研究であるWEAR-MEについて報告する(参加者 n = 1165人、ボディーマス指数〔BMI〕中央値 = 28 kg m−2、年齢中央値 = 45歳、ヘモグロビンA1c〔HbA1c〕中央値 = 5.4%)。この研究では、ウエアラブルデバイスの時系列データと定期的に測定される血液バイオマーカーを用いて、IRのグラウンドトゥルース測定値(HOMA〔homeostatic model assessment〕-IR)に対してディープニューラルネットワークを訓練した。HOMA-IRのカットオフ値を2.9とすると、我々のマルチモーダルモデルは、ウエアラブルデバイスからのデータに人口統計データおよび日常の血液バイオマーカーデータを組み合わせることで、安定した性能を実現した(受信者動作特性曲線下面積〔AUROC〕 = 0.80、感度 = 76%、特異度 = 84%)。我々は、ウエアラブルデバイスからの時系列データの活用を促進するために、4000万時間分のセンサーデータで事前訓練したウエアラブルデバイス基盤モデル(WFM)を精密に調整した。独立した検証コホートの1つ(n = 72)では、WFM由来の表現に人口統計データを統合したモデルは、人口統計データのみのベースラインを上回った(AUROC = 0.75対0.66)。さらに、人口統計データ、空腹時血糖値、脂質プロファイルを含むモデルにWFM由来の表現を追加したところ、ウエアラブルデバイスからのデータを含まない同一モデルと比べた場合、性能が大幅に改善された(AUROC = 0.88対0.76)。我々はまた、IR予測を大規模言語モデルに統合することで検査結果の文脈化を行い、個別化された推奨の提示を容易にした。本研究は、代謝リスクの早期検出に利用しやすいスケーラブルな枠組みを確立するもので、2型糖尿病への進行を防ぐための適時の生活習慣介入を可能にするだろう。

