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分子生物学:パキテン期piRNA中の少数派によるmRNA切断が精子の適応度を改善する

Nature 652, 8109 doi: 10.1038/s41586-026-10102-9

動物は、18~33ヌクレオチド長のPIWI結合RNA(piRNA)を用いて、生殖細胞のトランスポゾンを抑制する。有胎盤哺乳類では、トランスポゾンを抑制するpiRNAに加えて、パキテン期piRNAが作られる。これは、長鎖ノンコーディングRNA前駆体から作られ、量的に多い精巣特異的な小分子RNAのクラスである。パキテン期piRNA前駆体の転写部位は、有胎盤哺乳類では多くの場合よく保存されているが、piRNA自体の塩基配列は、ヒト集団の中でさえ急速に多様化する。そのため、パキテン期piRNAの生物学的機能や作用機構については、いまだに議論が続いている。今回我々は、マウスのパキテン期piRNAの大部分は生物学的機能を持たず、むしろ自身の産生を「利己的に」促進していることを報告する。これらのデータは、パキテン期piRNAが部分的に相補性のある標的のエンドヌクレアーゼ的切断を誘発し、mRNAの翻訳は活性化も抑制もしないことを示唆している。多くのパキテン期piRNAは特異的なmRNAの切断を引き起こすものの、標的の定常状態の量を変化させるpiRNAは少数に過ぎない。標的mRNA量を減少させる少数派のパキテン期piRNAは精子の適応度を高め、それによってパキテン期piRNAのレパートリー全体が確実に産生されるようにしている。まとめるとこれらの知見は、パキテン期piRNA塩基配列の大部分が保存されていないことを説明し、これらの「利己的」な小分子RNAが哺乳類の進化の過程で生き残ってきたのは、ごく少数のpiRNAによる標的の切断が雄の生殖能力を支えてきたからであることを示している。

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