Article

生化学:ジアゾ代謝物の化学的捕捉によって明らかになった生合成によるヒドラゾンの酸化

Nature 652, 8109 doi: 10.1038/s41586-025-10079-x

化学反応性の高い天然の微生物産物は、その確立された抗がん活性、抗生物質活性、抗酸化活性によって、治療法の開発を可能にしてきた。しかし反応性代謝物は、生物活性を手掛かりにする従来の単離ワークフローには耐えられない可能性があるため、その発見は特に難しい。ジアゾ含有天然産物は強力な生物活性を有し、生合成的に大きく変換することが可能な、反応性が非常に高い微生物代謝物の一群である。しかしジアゾ基は、光、熱、弱酸、機械的衝撃に不安定なため、効率良い発見、応用がこれまでは不可能だった。今回我々は、ジアゾ含有代謝物を捕捉し、その質量分析による発見を容易にする、反応性に基づくスクリーニング法を開発した。このワークフローによって、ヒト肺に感染する病原菌Nocardia ninaeから、2種類の新規なジアゾ含有天然産物(4-ジアゾ-3-オキソブタン酸とジアゾアセトン)が見つかった。生合成研究により、金属酵素Dob3が触媒するヒドラゾン酸化が関わるという独特な酵素反応によるジアゾ形成が明らかになり、その生化学特性の解明によって、今後の生物触媒への応用が期待できることが示唆された。これらの知見により、反応性代謝産物の特定と酵素による独特な変換の発見を促進する上で、反応性に基づく戦略の威力がはっきり示された。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度