細胞生物学:in vivoでのTRiCシャペロニンシステムの単一分子動態
Nature 652, 8109 doi: 10.1038/s41586-025-10073-3
必須シャペロニンのTRiC(T-complex protein ring complex、別名シャペロニン含有TCP-1〔CCT〕)は、シャペロン補助因子プレフォルディン(PFD)と協働してタンパク質の折りたたみを仲介する。in vitro実験によって、円筒形のTRiC複合体が折りたたまれるタンパク質をATPによる調節下で内部に取り込むことによって、折りたたみを促進することが明らかになっている。しかし、in vivoにおけるこのシャペロニン系の機能的動態はまだ調べられていない。今回我々は、ヒト細胞での単一粒子追跡法を開発し、TRiC–PFDと新たに合成されたタンパク質との相互作用を観察した。どちらのシャペロンも、短い探索イベント(典型的には約1秒間)の間に新生ポリペプチドと繰り返し接触し、その際、PFDがTRiCを引き寄せていた。シャペロニンの対象タンパク質であるアクチンの例で以前示されたように、PFDとTRiCの間で翻訳と同時に進行するこの相互作用は、ポリペプチド鎖の伸長の間に、頻度も継続時間も増加した。翻訳終結が近付くとPFDは数秒間結合するので、約2.5秒の反応サイクルが複数関わる翻訳後折りたたみ過程のためのTRiC動員を促進した。興味深いことに、正常に折りたためないアクチン変異体とTRiCの相互作用の継続時間が著しく延長されており、これは、折りたたみの対象となるタンパク質のコンホメーションの特性がTRiCの機能を調節することを示している。アクチン変異体は、分解の対象になるまではTRiC上で反応サイクルを繰り返し続けた。TRiCは連続した結合サイクルの間、折りたたみ対象タンパク質の周辺にとどまり続けることが多く、このことは、シャペロニン系は自由な拡散が制限された局所的な「保護区域」内で働いていることを示唆している。まとめるとこれらの知見は、細胞内環境におけるシャペロニン系の単一分子動態と超分子組織化についての詳しい手掛かりをもたらすものである。

