気候科学:よく混合された温室効果ガスの放射強制力に対する強い制約
Nature 652, 8108 doi: 10.1038/s41586-026-10289-x
よく混合された温室効果ガス(WMGHG:well-mixed greenhouse gases)による放射強制力は、地球のエネルギー不均衡と全球の地表の気候変動の主な駆動要因である。WMGHGは、その長波(LW)瞬時放射強制力(IRF)成分が大気の状態に依存し、放射パラメーター化の誤差の影響を受けることが主な理由となって、絞り込みがいまだ困難である。IRFは、WMGHG濃度の摂動に起因する対流圏界面の放射フラックスの即時の変化を測定する。今回我々は、1850年以降、WMGHG濃度の増大によって、LW IRFが3.69 ± 0.07 W m−2(95%信頼区間)増加したことを示す。我々はまず、全球のラインバイライン放射伝達シミュレーションを用いて、現実的な全天条件下で主要なWMGHGについてLW IRFの全球ベンチマークを得た。次に我々は、LW IRFと外向き長波放射(OLR)の間のロバストな線形関係を特定し、状態依存的なLW IRFを人工衛星で観測されたOLRに対する回帰から直接推測できるようにした。さらに、LW IRFによって、地球システムモデルにまたがるCO2の有効放射強制力(ERF;これにはIRFを超えた急速な大気調節が含まれる)のモデル間の幅の91%が説明された。回帰法を用いてモデルでシミュレートされたIRFをベンチマーキングすることによって、大半の不一致が放射のパラメーター化に起因するものであり、LW IRFのバイアスを補正することによってCO2 ERFの不確かさが50%低減することが明らかになった。今回の結果は、WMGHGの状態依存放射強制力を定量化するための単純かつロバストな枠組みを確立し、観測情報に基づく将来の気候アセスメントに道筋をもたらしている。

