免疫学:ケラチノサイトからの代謝性アラーミンが全身性の体液性免疫を増強する
Nature 652, 8108 doi: 10.1038/s41586-026-10167-6
局所感染がどのようにして全身性の体液性免疫を開始させるのかは、明らかになっていない。今回我々は、メバロン酸経路の代謝中間体であるファルネシルピロリン酸(FPP)が、ケラチノサイト由来のIL-6およびCCL20を介してIgG抗体応答を増強する内因性アラーミンであることを突き止めた。このシグナル伝達軸は、濾胞性ヘルパーT細胞および遊走性樹状細胞の分化を増強する。FPPは、感染あるいは紫外線照射後に、小胞体ストレス応答(UPR)–SREBF経路が仲介するメバロン酸経路の活性化を介してケラチノサイト内に蓄積し、流入領域リンパ節における胚中心(GC)反応を増幅する。機構的には、細胞質ゾルに蓄積したFPPは、TRPV3(transient receptor potential vanilloid 3)の細胞内ドメインに結合することでTRPV3に作用し、これによってCa2+流入が誘導され、これに続いて、カルモジュリン–カルシニューリン–NFAT経路およびPYK2–RAS–ERK経路が活性化されて、IL-6およびCCL20の産生が高まる。このFPP–TRPV3–IL-6/CCL20–GC軸は、病原体特異的抗体産生を増強し、野生型マウスには防御効果をもたらすが、TRPV3欠損マウスではそうした効果は認められなかった。全身性エリテマトーデス(SLE)の皮膚病変および病原体感染マウス皮膚の単一細胞RNA塩基配列解読解析によって、このシグナル伝達軸が、特にTRPV3highケラチノサイトサブセットにおいて過剰活性化していることが実証された。SLEのマウスモデルでは、この軸の活性化は病態の増悪と相関している。従って、FPPはTRPV3–IL-6/CCL20–GCシグナル伝達軸を介して全身性の体液性免疫を増強していて、ワクチンアジュバントやSLEの治療薬候補の開発のための手掛かりになる。

