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薬物送達:臓器被膜による濾過を基盤として膵臓を標的化する脂質ナノ粒子

Nature 652, 8108 doi: 10.1038/s41586-026-10158-7

膵臓を標的とする薬物送達の実現は、膵臓疾患の治療における画期的進歩だが、精密な送達はいまだに難しい。今回我々は、膵臓選択的送達のための明確な普遍原理を明らかにし、mRNAを送達するための膵臓を標的とする脂質ナノ粒子(AH-LNP)を提案する。AH-LNPはタンパク質と会合後にサイズが拡大し、被膜を介して起こる膵臓選択的な蓄積と受容体を介したエンドサイトーシスが促進され、それによって膵臓を標的とする選択性が高まる。このような利点があるので、AH-LNPを用いてCas9 mRNAと一本鎖ガイドRNA(sgRNA)を膵臓に送達すれば、精密かつ効率の良いゲノム編集が可能になり、自己免疫性膵疾患の治療に役立つことが期待される。また、治療効果のあるサイトカインをコードするmRNAを、がんワクチンあるいはキメラ抗原受容体T細胞療法(CAR T療法)と組み合わせて膵臓へと送り込むと優れた抗腫瘍効果が見られることが、複数の膵臓がんモデルで実証された。AH-LNPの安全性と膵臓へのmRNA送達は、非ヒト霊長類を含む複数の動物モデルで確認され、AH-LNPの臨床応用に向けて大きな期待が持てることが示された。これらの知見によって、膵臓を標的とするこの送達系とこれに由来するLNPプラットフォームの革新的能力がはっきり示され、さまざまな膵疾患に対する精密医療の開発に道が開かれた。

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