生物物理学:天然変性タンパク質のアンサンブルをSTARLINGにより正確に予測する
Nature 652, 8108 doi: 10.1038/s41586-026-10141-2
天然変性タンパク質と天然変性領域(IDRと総称する)は生物の全ての界に見られ、真核生物の事実上全ての細胞過程で欠くことのできない重要な役割を果たしている。IDRは、構造的に異なるコンフォメーションの幅広いアンサンブルとして存在し、こうした構造的可塑性によって多様な分子認識や機能が円滑に行われている。今回我々は、物理学に基づく力場の進歩とマルチモーダルな生成深層学習の力を組み合わせることによって、アミノ酸配列から正確なIDRアンサンブルとアンサンブルを考慮した表現を迅速に生成するためのフレームワークである「STARLING」を開発した。STARLINGは広いイオン強度にわたる環境条件付けに対応しており、生成モデルの訓練領域を超えた内挿能力の概念実証となる。さらに我々は、ベイズ最大エントロピー再重み付けスキームを使って、実験的制約の下でアンサンブルの精緻化を可能にした。STARLINGの配列表現は、アンサンブルの特徴付けだけでなく、複数の方法で利用できる。ここでは2つの例を示す。第一に、STARLINGを用いて「生物物理学的によく似た」IDRのアンサンブルに基づいた探索を行うことができる。第二に、これらの潜在表現を用いることで、1候補当たり数週間から数時間かかるアンサンブルを優先した配列設計が数秒にまで短縮でき、ライブラリースケールの設計が可能になることが実証された。まとめると、STARLINGは創発的な生物物理学的特性というレンズを通して、IDRの機能をコンピューターによって精査する際の障壁を大幅に引き下げ、バイオインフォマティクスによるタンパク質配列解析を補完する。我々は、STARLINGの精度を既存の実験データで検証し、STARLINGによってIDR機能に関する仮説の構築がいかに迅速に行えるか、STARLINGが実験データの解釈にいかに役立つかを示す一連の実例を提示する。

