進化ゲノミクス:酵母のセントロメアとしてのLTRレトロトランスポゾンの古代からの転用
Nature 651, 8107 doi: 10.1038/s41586-025-10092-0
セントロメアは正確な染色体分離を保証するが、そのDNAは真核生物全体で急速に進化しているため、新しいセントロメア構造の起源は明らかになっていない。ビール酵母である出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)もこの長年の謎を示す典型例である。出芽酵母のセントロメアは、反復配列が豊富でエピジェネティックに指定された大きな祖先形態から、遺伝的に定義されたコンパクトな「ポイント」セントロメアへ移行した。この移行がどのように起こったのかは解明されていない。今回我々は、ポイントセントロメアの進化的起源の解明の手掛かりを提供する、進化的に関係のある「プロトポイント」セントロメアを特定した。プロトポイントセントロメアは、ATが豊富なコア配列に位置する単一のセントロメアヌクレオソームを含み、その両側のシスエレメントは弛緩した構成と塩基配列多様性を伴う。2つの種では、これらのプロトポイントセントロメアは、レトロトランスポゾン由来の反復配列クラスター内に位置しており、祖先的な反復配列が豊富なセントロメアと、遺伝的にコードされたセントロメアを結び付けている。比較解析および系統学的解析から、プロトポイントセントロメアとポイントセントロメアは、レトロトランスポゾンが豊富なセントロメアを持つ祖先において進化したことが示された。これらの結果は、LTR(長い末端反復配列)レトロトランスポゾン、特にTy5塩基配列が、ポイントセントロメア進化の遺伝的基盤であることを明らかにするとともに、エピジェネティックなセントロメアが遺伝的に指定されるようになり得る機構的経路を示している。より広く言えば、今回の結果は、利己的なエレメントが転用されて必須の染色体機能を果たし得ることを示している。

