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免疫学:T細胞のプログラム化に関わる転写因子アトラスを利用した発見

Nature 651, 8107 doi: 10.1038/s41586-025-09989-7

CD8+ T細胞は多様な状態に分化して、がんや慢性感染症における免疫の転帰を左右する。この多様な状態に導く転写因子(TF)を体系的に明らかにするため、今回我々はCD8+ T細胞の9種類の状態を網羅する転写データとエピジェネティックデータを統合した包括的アトラスを構築し、TFの活性プロファイルを推測した。この解析によってTF活性フィンガープリントがカタログ化され、細胞状態の選択的分化を支配する調節機構が明らかになった。このプラットフォームを活用して、我々は、腫瘍やウイルス感染の状況において重要な、転写的にはよく似ているが機能的には相反する2つの状態に注目した。すなわち、機能不全に陥った終末疲弊T(TEXterm)細胞と、保護的に働く組織常在性記憶T(TRM)細胞である。TF群全体の解析では、保護的状態と機能不全状態とでは、基盤となる生物学的経路やTFが駆動するネットワークが異なることが分かった。我々はさらに、単一細胞RNA塩基配列解読と統合したin vivo CRISPRスクリーニング(in vivo Perturb-seq)により、TEXterm細胞の分化を選択的に支配する複数のTFを明らかにした。我々はまた、TEXterm細胞とTRM細胞の分化に共通する調節因子としてHIC1とGFI1を、TRM細胞に特有な調節因子としてKLF6を特定した。そして、これまでT細胞における機能が知られていなかった、新規TEXterm細胞選択的TFとしてZSCAN20やJDP2などを発見した。これらのTFを標的として欠失させると、腫瘍制御が改善され、免疫チェックポイント阻害と相乗効果が認められたが、TRM細胞の形成は妨げなかった。これと一致して、ヒトT細胞でこれらのTFを枯渇させると、抑制性受容体の発現が減少し、エフェクター機能が改善した。今回のプラットフォームは、保護的なTRM細胞プログラムから疲弊TEX細胞選択的プログラムを切り離すことにより、T細胞状態のより正確な操作を可能にし、より効果的な細胞免疫療法の合理的設計を加速させる。

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