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生態学:熱帯の昆虫における限られた高温耐性とそのゲノムシグネチャー
Nature 651, 8106 doi: 10.1038/s41586-026-10155-w
昆虫は全動物種の大半を占め、その70%は熱帯に生息しているが、温暖化が熱帯の昆虫に与える影響は依然として極めて不確かである。これは、熱帯昆虫の高温耐性に関するデータが不足し、かつ分類学的に偏っていて、その根底にある生理学的機構についての理解が不十分であることに起因する。本研究で我々は、アフリカ熱帯区と新熱帯区の標高勾配に沿って、環境温度と、約2300種の昆虫について野外で測定した高温耐性の上限および下限を比較し、昆虫の系統樹全体にわたって高温耐性のゲノムシグネチャーを明らかにした。熱帯の低地では、高温耐性は環境温度に比例せず、漸近線に近づくことが分かった。高地の昆虫は気温上昇に対応できる可塑性を持っていたが、低地の種の可塑性は限定的であった。高温耐性は昆虫の目や科によって大きく異なり、これはタンパク質の熱安定性に反映されていることから、高温耐性の多様性はタンパク質の基本的な構造に基づいていると示唆される。アマゾン低地では、最大で将来の地表温度の52%、気温の38%が、今回研究対象となった群集の半数で熱関連死を引き起こす可能性がある。我々のデータは、地球上で最も生物多様性の高い地域に生息する昆虫は、将来の温暖化を緩和する能力を限定的にしか持たないことを示唆している。

