医学研究:Chd3のin vivo塩基編集はマウスの行動異常を救済する
Nature 651, 8106 doi: 10.1038/s41586-026-10113-6
クロマチンリモデリング遺伝子のde novo変異によって生じる神経発達障害には、標的治療法が存在しない。CHD3の病原性バリアントによって生じるスナイデルス・ブロック–カンポー症候群(SNIBCPS:Snijders Blok–Campeau syndrome)は、知的障害、自閉症様行動、運動障害が見られる。体細胞遺伝子を修正することで、in vivoでこのような表現型を元に戻せるかどうかは分かっていない。今回我々は、CHD3の頻発性バリアントp.R1025Wのヒト化マウスモデル(Chd3hR1025W/+)では、CHD3タンパク質レベルの低下や、社会的コミュニケーション、認知機能、運動協調性の異常といったSNIBCPSの重要な特徴が再現されることを示す。我々は、TeABE(TadA-embedded adenine base editor)を作製し、それを二重アデノ随伴ウイルス(AAV)系を用いて脳全体に送達し、複数の皮質領域と海馬領域において、バイスタンダー活性を最小限に抑えつつ、効率の良いA•TからG•Cへのオンターゲット修正を達成した。この介入により、CHD3レベルが回復し、in vivoで行動異常が改善した。さらに、非ヒト霊長類の髄腔内に二重AAVを送達したところ、幅広いニューロンへの形質導入とTeABEの効率的な再構築が起こった。この結果は、この手法のトランスレーショナルな実現可能性を裏付けるものである。これらの知見は、in vivo塩基編集が、CHD3に関連した神経発達障害に対する実行可能な治療手法になることを立証している。さらに広く言うと、今回の結果は、出生後の脳における正確な一塩基修正がタンパク質の量と機能を回復できることを実証しており、これにより、単一遺伝子性の神経発達障害の治療に対する枠組みがもたらされる。

