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遺伝学:赤血球系細胞におけるサイクリンD3発現の低下はマラリアを防ぐ

Nature 651, 8106 doi: 10.1038/s41586-026-10110-9

マラリアの重症度は個人差が大きいが、こうした差異の根底にある機構は明らかになっていない。赤血球はマラリアの生物学において中心的な役割を持つため、赤血球の発生に関連する遺伝的バリアントから、疾患の重症度を決定する機構についての情報が得られる可能性がある。今回我々は、バリアントrs112233623-Tと赤血球の性質との関連の機構的基盤を調べ、マラリア重症度の調節におけるこのバリアントの役割を検討した。このバリアントは、ヘモグロビンA2レベルの上昇、赤血球サイズの増大、赤血球数の減少と関連しており、CCND3の赤血球系エンハンサー中に存在する。CCND3は、細胞分裂活性化因子であるサイクリンD3をコードしており、ペントースリン酸経路を増強し、これが活性酸素種(ROS)を中和するのを助けている。我々は、rs112233623-Tが転写因子SMAD3の結合部位を破壊してエンハンサー活性を減弱させ、赤血球前駆細胞(赤芽球)においてCCND3の発現低下とG1–S細胞周期移行の抑制に関連し、これに伴って赤血球数の減少と赤血球サイズの増大を引き起こすことを示す。我々は集団遺伝学の方法を用いて、かつてマラリアがまん延していた地域であるサルデーニャ島の遺伝史においてrs112233623-Tに対する正の選択シグネチャーを観察した。さらに、rs112233623-T保有者由来の熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)が感染した赤血球の培養では、この寄生虫の増殖が障害されること、そして、この障害がROSレベルと相関することが分かった。これは、特定の状況でマラリア防御と関連する形質であるペントースリン酸経路の酵素G6PDの欠損者の赤血球における観察結果とよく似ており、マラリア抵抗性に共通するROSベースの機構があることをはっきりと示している。我々の結果は、赤芽球でのCCND3の減少がマラリアへの抵抗性機構であることを示唆しており、治療的介入に利用できる可能性がある。

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