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遺伝学:集団横断的な遺伝子–環境交互作用の総覧
Nature 651, 8106 doi: 10.1038/s41586-025-10054-6
環境によって遺伝的効果量が変化する現象、すなわち遺伝子–環境交互作用は、表現型可塑性を規定する遺伝的基盤を明らかにする可能性がある。今回我々は、ヨーロッパ系集団と日本人集団の計44万210人からなる集団横断的な遺伝子–環境交互作用アトラスを構築し、多様な集団に属する53万9794人においてその再現性を検証した。年齢、性別、生活習慣による寄与を分解することで、これら遺伝子–環境交互作用の成因を明らかにし、その中には疾患に関連した食習慣の変化に起因する逆因果を示す遺伝子座位が含まれていた。ゲノムワイド解析により、ゲノムと環境の相乗効果によって説明される失われた遺伝率や形質–形質間の関係が明らかとなり、それらがポリジェニックスコア(多遺伝子スコア)の予測精度や集団横断的な移植可能性に系統的な影響を及ぼすことが示された。単一細胞データへの投影解析により、遺伝的調節を担うパスウェイと細胞タイプが加齢に伴って変化する例が明らかになった。さらに、オミクスレベルの遺伝子–環境解析により、脂質代謝において性差により方向性が逆転する遺伝的効果が複数同定され、遺伝学的根拠に基づく薬剤開発における臨床試験失敗の理解に示唆を与えた。我々の包括的な遺伝子–環境研究は、遺伝的関連の動態を解読し、複雑形質の生物学、個別化医療、薬剤開発に新たな洞察をもたらす。

