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エネルギー科学:高エネルギー密度・低温電池向けのハイドロフルオロカーボン電解質
Nature 651, 8105 doi: 10.1038/s41586-026-10210-6
電気化学デバイス向けの電解質溶媒は、過去数十年にわたって酸素(O)系と窒素(N)系の配位子が主流であった。これらの溶媒では一般的に、双極子とイオン(Li+やNa+など)の間の相互作用がイオンの解離と輸送の基礎となっているが、これが電解質–電極界面における電荷移動過程を妨げている。今回我々は、モノフッ素化構造のアルカンを合成することによって、設計された立体障害を持つルイス塩基性のフッ素(F)系配位子が、2 mol l−1を超える塩の溶解を可能にすることを示す。中でも、1,3-ジフルオロプロパン(DFP)系Liイオン電解質は、低粘度(0.95 cp)、高い酸化安定性(> 4.9 V)、−70℃で0.29 mS cm−1のイオン伝導率を示すなど、高エネルギー密度・低温電池向けの利点を全て備えていた。F原子を第一溶媒和殻に組み込むことによって、弱いF–Li+配位がLiの析出/溶解過程を促進し、−50℃においてクーロン効率(CE)が最高99.7%、交換電流密度がO–Li+配位より1桁高くなった。この電解質はさらに、電解質量0.5 g Ah−1未満でリチウム金属パウチセルの動作を可能にし、室温で700 Wh kg−1以上、−50℃で約400 Wh kg−1のエネルギー密度を達成した。本研究のハイドロフルオロカーボン(HFC)電解質は、従来の配位化学を超える電気化学システムを構築する実行可能な手法をもたらす。

