Article
遺伝学:多様な祖先を持つ集団から得た統合失調症に関する生物学的手掛かり
Nature 651, 8105 doi: 10.1038/s41586-025-10000-6
統合失調症および関連する精神病は、あらゆるヒト集団で発生し、黒人および主にアフリカ系集団で診断率が最も高い。数十年にわたる研究で、統合失調症には高度に遺伝性で多遺伝子性の基盤があることが明らかにされており、その基盤の多くは集団間で共通している。しかし、コホートの募集がヨーロッパ系に偏っており、そこから得られた発見はアフリカ系集団には一般化しづらいものだった。この世界で最も遺伝的に多様な集団を除外することは、疾患生物学についての理解を狭め、健康格差を悪化させるリスクがある。本研究で我々は、退役軍人100万人プログラム(MVP;退役軍人の健康とウェルネスに対する遺伝子、生活様式、軍隊経験および曝露の影響を調査する全国研究プログラム)のゲノムデータと結び付けた電子健康記録が、米国のアフリカ系集団における統合失調症の遺伝的特徴の包括的な評価を可能にすることを示す。我々は、アフリカ系集団で祖先系統に依存しない関連を特定し、関与領域のカタログを100座位以上拡大した。また、統計的ファインマッピングと統合的トランスクリプトーム解析により、疾患関連シグナルを、収斂的な神経生物学的機能を持つコンセンサス遺伝子に絞り込んだ。これらの結果は、アフリカ系集団における統合失調症の遺伝的構造に関する待望の知見を提供し、これまでの研究を拡張するとともに、その世界的な意義を広げる生物学的手掛かりをもたらす。

