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神経回路:海馬における報酬の予測的符号化
Nature 651, 8105 doi: 10.1038/s41586-025-09958-0
将来の結果を予測することは、脳の基本的な役割の1つである。この過程には、外界の状態だけでなく、それらの状態間で推移する関係性についても学ぶことが必要である。齧歯類では、海馬の空間認知地図が、そうした内的モデルの1つであると考えられている。しかし、海馬ニューロンの表現に見られる予測的符号化や報酬感受性の証拠からは、海馬には単なる空間表現を超えた役割があることが示唆されている。こうした報酬表現が、長期の経験にわたってどのように発達するのかは分かっていない。今回我々は、認知的に負荷の大きい報酬課題の解決を学習中のマウスで、海馬の報酬表現の発達を数週間にわたって追跡した。その結果、マウスが数週間にわたって課題を学習するうちに、海馬の神経表現が報酬を予測するようになることを示す複数の証拠が、集団レベルおよび単一細胞レベルで得られた。報酬の集団レベルの符号化と報酬に特化したニューロンの割合は共に、経験とともに減少していき、それと同時に、報酬に先行する性質の表現は、経験とともに増加していった。報酬に特化したニューロンを長期間追跡したところ、それらの神経活動が、報酬自体の符号化から報酬に先行する課題の性質の表現へと、徐々に変化していくのが認められた。これは、経験によって神経活動が報酬の予測に向けて逆向きに再構成されていくことを示している。我々は、場所受容野の時間差モデルが、これらの結果を再現することを示す。今回の知見は、海馬の神経表現の動的な性質を明らかにするとともに、海馬が将来の結果の予測を通した学習において果たす役割を浮き彫りにしている。

