Article

生物工学:N1-メチルプソイドウリジンは翻訳動態を直接調節する

Nature 651, 8105 doi: 10.1038/s41586-025-09945-5

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対するメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンがかなりの成功を収めたことで、変革を起こす生体医療技術としての合成mRNAの可能性が強調されるようになった。このような手法の重要な特徴は、改変ヌクレオチドであるN1-メチルプソイドウリジン(m1Ψ)の取り込みであり、これによって免疫原性を減弱しながら、抗原提示が強化される。しかし、m1Ψが翻訳に影響する仕組みの包括的な理解は不完全なままである。今回我々は、サブコドン分解能のリボソームプロファイリングを用いて、m1Ψが合成mRNA上のリボソーム密度を上昇させ、自然免疫の活性化やeIF2αのリン酸化と関係なく、高いタンパク質産生へとつなげることを示す。我々は、m1Ψが決まった塩基配列内でリボソームの動きを直接的に遅くさせるのと同時に、翻訳開始を促進させることを見いだした。クライオ電子顕微鏡法を用いた構造研究により、m1Ψはリボソームの解読中心での相互作用を変化させ、ゆっくりした伸長のための機構的基盤を提供することが明らかになった。さらに、伸長における修飾を介した変化を阻害する同義語再コーディングを導入することで、タンパク質合成のm1Ψ依存的な増強がコドン構成により調節されていること、そして、m1Ψの影響がゆらぎ位置にウリジンを含む非最適コドンを含むmRNAで最も強いことが分かった。まとめるとこれらの知見は、m1Ψが翻訳動態を直接調節していて、それによって特定の塩基配列構成で合成mRNAからのタンパク質産生量が増加することを実証している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度