古生物学:シルル紀最大の魚類が明らかにする硬骨魚類の形質の起源
Nature 651, 8104 doi: 10.1038/s41586-025-10008-y
硬骨魚類(四肢類を含む)は現生脊椎動物種の98%を占める。しかし、ステム群硬骨魚類の形質進化の流れに関する理解は、既知のステム群硬骨魚類化石が断片的であることによって大きく制限されてきた。今回我々は、Megamastax amblyodusの新たに発見された標本(関節がつながった頭部と胴部からなる)を調べ、シルル紀のステム群硬骨魚類に関してこれまで知られていなかった形態学的詳細を明らかにした。Megamastaxはこれまで肉鰭類と解釈されてきたが、吸収による歯の脱落や外肩甲骨の存在など、皮骨頭蓋に明瞭な硬骨魚類的形質が認められた。ただし、背側大動脈の配置はクラウン群軟骨魚類のものに近い。大きく広がった口蓋板を伴う前上顎骨、そして脳頭蓋の長い後下垂体領域は、上顎骨を有する板皮類の状態を想起させる。重要なことに、個々の付着基部上に位置する独立した歯のクッション要素(tooth cushion)からなる内側歯列弓の発見によって、Megamastaxと断片的に知られていたLophosteus属およびAndreolepis属との系統関係が明らかになり、遊離した状態で発見された歯のクッション要素が顎の歯列の一部であるとする従来の解釈が裏付けられるとともに、これらの属がステム群硬骨魚類であることが確認された。系統解析の結果、Megamastaxは、硬骨魚類のステム群内においてクラウン群のノード付近に位置付けられ、硬骨魚類の基幹に沿った形質獲得の流れを探るための枠組みが得られた。総合するとこれらの新たな知見は、ステム群顎口類と現生硬骨魚類との間の形態的な隔たりを埋める一助となり、硬骨魚類の系統を形作った初期の進化段階の流れを明らかにしている。

