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気候科学:過去1100年間の大気中水素の変動
Nature 650, 8103 doi: 10.1038/s41586-026-10099-1
グリーンエネルギーへの移行の一部として水素(H2)エネルギー技術が広く導入されれば、人為起源の水素の排出が増大すると予想されている。大気中の水素は放射活性を持たないが、メタン、オゾン、水蒸気に対する化学的効果を通して地球の気候を温暖化させる。人為起源の摂動に対する大気の応答の予測は困難であり、その理由の1つは、現代的な計測器によって記録されている期間が限られていることである。氷床コアの水素の測定によって観測記録が拡大され、人為起源の摂動と天然の摂動、ならびに水素濃度に対する生物地球化学的制御に関して、長期的な時間スケールにわたる情報が得られる可能性がある。しかし、氷床コアの水素の測定は、氷中の水素の透過性が高いため困難である。今回我々は、グリーンランド氷床コアから得られた、過去1000年にわたる大気中水素の氷床コア記録を提示する。この記録は、産業革命以前から現代にかけて大気中水素が70~111%(2σ)上昇したことを示しており、この結果は、化石燃料の燃焼による直接排出の増加と水素前駆体の大気中濃度の増大と一致している。また、産業革命以前の記録は、小氷期(LIA)の間に水素濃度が4~25%(2σ)低下したことも示しており、これは、水素の生物地球化学的性質が気候変動に敏感である可能性を示している。これらの知見は、人為起源の水素排出の増加が放射にもたらす帰結を見積もる際には、気候温暖化に対する水素の発生源・吸収源(ソース・シンク)の感度を考慮すべきであることを示唆している。

