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構造生物学:統合的構造動力学により明らかになったB12光受容体の新規な活性化様式

Nature 650, 8103 doi: 10.1038/s41586-025-10074-2

光受容体タンパク質は、視覚、光合成、概日リズムなどの基本的な生物学的過程を調節している。光受容体の大きなサブファミリーの1つに、有機金属錯体であるB12誘導体を利用して光を感知しているものがあるが、その活性化様式は、これまでによく知られている熱で活性化される酵素反応におけるB12誘導体の活性化様式とは著しく異なっている。しかし、このB12型光受容体による光感知の詳しい分子機構や、それが酵素反応に見られる熱による活性化経路とどのように異なっているのかは、まだ解明されていない。今回我々は、時間分解および温度依存的な構造解析手法と分光学的解析手法、そして量子化学計算とを組み合わせて、原型的なB12型光受容体CarHの光活性化について、ナノ秒から数秒までの範囲で詳細に明らかにした。反応前の暗状態四量体構造と光で活性化された終状態の単量体の結晶構造に基づき、B12結合ドメインのみを用いた系で得られたスナップショットから中間体の構造を決定した。そして、B12発色団(アデノシルコバラミン)中にあるコバルト–炭素(Co–C)結合が光によって切断され、それが引き金となって構造変化が起こってCarH全体に広がる一連の様子が明らかになった。まず、光解離性Co–C5′結合が切断されると、アデノシル部分のC4′とCoイオンが結合したこれまで知られていなかった中間体が形成される。次に、より遅い時間スケールで、Co–C4′結合が熱によって切断されると、アデノシル基が解離し、最終的に四量体の解離が引き起こされる。この中間体の存在が、熱で活性化されるB12含有酵素とCarHの違いとなる特徴であり、CarHを光活性化経路へと進ませる働きをするとともに、光化学的な速い時間スケールと光生物学的な遅い時間スケールとを結び付ける役割を果たしている。我々の研究の生物学的妥当性は、DNA存在下での完全長CarHの反応速度データによって裏付けられた。このように、CarHの光活性化の詳細を時空間的に解明できたことは、光遺伝学的応用に向けてB12依存光受容体を設計するための指針となるであろう。

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