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凝縮物質:共振器変調された超伝導
Nature 650, 8103 doi: 10.1038/s41586-025-10062-6
物質の基底状態の特性を、その電磁環境を操作することによって変えることは実現可能なのか。理論的予測から着想を得て、光励起を伴わずにそうした共振器制御された特性を実験的に実現した結果が現れ始めている。今回我々は、物質の共振器変調を実現する新しいプラットフォームを考案・実装した。双曲型ファンデルワールス(vdW)化合物の単結晶から、増強された光子状態密度と顕著なモード閉じ込めを伴う共鳴電磁環境が得られた。我々は、六方晶窒化ホウ素(hBN)と分子性超伝導体κ-(BEDT-TTF)2Cu[N(CN)2]Br(κ-ET)を接合させた。hBNの赤外双曲型モード(HM)の周波数は、超伝導に関与するκ-ETの赤外活性な炭素–炭素結合(C=C)伸長分子共鳴と一致した。第一原理分子ランジュバン動力学シミュレーションで裏付けられたナノ光学データから、hBNの双曲型共振器モードとκ-ETのC=C伸長モードとの間に共鳴結合が存在することが確かめられた。磁力顕微鏡(MFM)を用いたマイスナー効果の測定結果からは、hBN/κ-ET界面近傍での超流動密度の強い抑制が実証された。RuCl3/κ-ETやhBN/Bi2Sr2CaCu2O8+x(BSCCO)などの非共鳴制御ヘテロ構造は、顕著な超流動抑制を示さなかった。これらの観測結果は、hBN/κ-ETによって、共振器変調された超伝導基底状態が実現されることを示唆している。今回の成果は、複雑な量子物質の電子基底状態特性の操作に向けて、外部光子が存在しない暗共振器の潜在的可能性を浮き彫りにしている。

