神経科学:老化は分解の遅いシナプスタンパク質のミクログリアでの蓄積を促す
Nature 650, 8103 doi: 10.1038/s41586-025-09987-9
神経変性疾患は、世界中で12人に1人が罹患する、依然として治療法のない疾患である。その発症機序の中核には、ニューロンタンパク質の維持の喪失と、老化に伴うタンパク質凝集体の蓄積がある。本研究で我々は、新生ニューロンのプロテオームのタグ付けと、老化に伴うその代謝回転、凝集傾向、ミクログリアとの相互作用の研究を可能にする生体直交型のツールを設計した。我々は、ニューロンタンパク質の半減期は、4カ月齢と24カ月齢のマウスの間では平均して約2倍長くなっており、個々のタンパク質の安定性は脳領域によって異なることを明らかにする。さらに我々は、老化脳のタンパク質凝集体に寄与するニューロンタンパク質のカタログである、老化ニューロンの「アグリゴーム(aggregome)」についても報告する。このアグリゴームは、1726種類のタンパク質からなり、その約半数で老化に伴う分解の低下が見られた。また、このアグリゴームには、よく知られた疾患関連タンパク質に加えて、これまで神経変性疾患と関連付けられていなかった多数のタンパク質が含まれていた。重要なことに、ニューロンタンパク質は老化ミクログリアに蓄積しており、その54%は老化に伴って分解低下および/または凝集することが実証された。これらのタンパク質にはシナプスタンパク質が豊富に含まれており、これは、機能を失ったシナプスタンパク質の代謝回転と凝集から始まり、おそらくミクログリアによるシナプス貪食を介したこれらのタンパク質の除去に至る、事象のカスケードが存在することを示唆している。これらの知見は、ニューロンのプロテオーム維持が老化に伴って大幅に失われることを示しており、これが老化に関連するシナプス喪失や認知機能低下の原因となっている可能性がある。

