遺伝学:90万人のバイオバンク参加者から得られたDNA反復配列の伸長についての手掛かり
Nature 650, 8103 doi: 10.1038/s41586-025-09886-z
DNA縦列反復配列の伸長と短縮により、ヒト集団およびヒト組織において遺伝的多様性が生じる。伸長した反復配列の中には遺伝性疾患を引き起こすものもあれば、体細胞で不安定なものもある。今回我々は、英国バイオバンクとAll of Us研究プログラムの計90万人以上の参加者のDNA塩基配列解読データについて、DNA反復配列の不安定性を認識・測定してその知見を得る計算手法を用い、解析した。その結果、異なる座位の反復配列は、生殖細胞系列と血液において、組織特異的な変異傾向に大きなばらつきを示した。TCF4とADGRE2の反復配列のありふれた対立遺伝子は、血液において長さのモザイク率が高く、これは、大半のヒトゲノムには加齢に伴って伸長する反復配列エレメントが含まれていることを実証している。不安定な反復配列の対立遺伝子の体細胞性伸長の程度についてのゲノム規模関連解析から、血液において1つ以上のDNA反復配列の伸長を増幅させる遺伝性バリアントが存在する29座位が特定された(P = 5 × 10−8~2.5 × 10−1438)。これらの遺伝的修飾因子群は、反復配列の不安定性に対して強力な集合的効果を示し、1つの反復配列では、体細胞性伸長率は多遺伝子スコアの上位5%の人と下位5%の人の間で4倍異なっていた。いくつかのDNA修復遺伝子の修飾因子対立遺伝子は、血液のTCF4反復配列の不安定性に対して、他のDNA反復配列とは逆の効果を示した。グルタミナーゼ(GLS)遺伝子の5′非翻訳領域における伸長した反復配列は、病期5の慢性腎疾患(オッズ比〔OR〕 = 14.0〔95%信頼区間[CI] = 5.7–34.3〕)および肝疾患(OR = 3.0〔CI = 1.5–5.9〕)と関連していた。これらの結果は、ヒト集団およびヒトの生涯にわたるDNA反復配列の複雑な動態を示している。

