免疫学:CCR5Δ32ヘテロ接合型幹細胞移植後の持続的なHIV-1寛解
Nature 650, 8102 doi: 10.1038/s41586-025-09893-0
HIVの治癒は極めてまれであり、エピデミック開始以降でHIVに感染したと推定される8800万人のうち、治癒報告症例は6例のみである。「ベルリンの患者」として知られる先駆的症例を含め、成功した治癒例は、血液がんのための同種幹細胞移植(allo-SCT)を受けた人に限られている。まれなCCR5Δ32ホモ接合型変異を持つ幹細胞ドナーのHIV耐性が、抗レトロウイルス療法なしのHIV寛解の主な機構であると長い間考えられてきた。しかし、近年の報告では、CCR5非依存的な機構がHIVの治癒に重要な寄与要因であることが明らかにされた。本論文で我々は、この概念の転換に関する新たな証拠として、機能的に活性のあるCCR5のallo-SCT後に、治療を必要としない長期のHIV寛解が達成されたことを示す。CCR5野生型/Δ32ヘテロ接合型のHIV感染男性が、急性骨髄性白血病の治療として、非血縁でHLAの適合したCCR5野生型/Δ32ヘテロ接合型ドナーからallo-SCTを受けた。allo-SCTの3年後に、その患者は抗レトロウイルス療法を中断した。これまでのところ、血漿中HIV RNAは検出限界値未満で、HIVの寛解は6年以上持続している。リザーバー解析では、移植前に無傷のプロウイルスHIVが見つかったが、allo-SCT後には血中や腸組織に複製能を持つウイルスは存在しなかった。HIV特異的抗体応答とHIV特異的T細胞応答の低下や消失は、ウイルス活性がないことを裏付けている。移植時に抗体依存的細胞傷害活性が高かったことが、HIVリザーバーの排除に寄与した可能性がある。これらの結果は、CCR5Δ32を介したHIV耐性は持続的な寛解に必須ではないことを実証し、HIV治癒戦略において効果的にHIVリザーバーを減少させることの重要性を明らかにしている。

