Article

微生物学:ロングリードメタゲノミクスからヒトの腸マイクロバイオームにおけるファージ動態が明らかになる

Nature 649, 8098 doi: 10.1038/s41586-025-09786-2

腸のバクテリオファージは微生物の生態や健全性に大きな影響を及ぼすが、十分に研究されていない。今回我々は、高深度ロングリードバルクメタゲノム塩基配列解読を用いて、健常者6人から2年の間隔を空けて採取した2時点の糞便試料において、プロファージの組み込み動態を追跡した。ほとんどのプロファージは宿主に安定に組み込まれたままであったが、ファージの約5%は、持続生残する細菌宿主において動的に獲得されたり失われたりしていた。同一試料内で、特定のプロファージを持つ細菌宿主と持たない細菌宿主が同時に共存していることが分かった。さらに、ファージ誘導は、検出される場合でも主に低レベル(宿主領域と比べて1~3×のカバー率)で起こっていて、これは理論的予想と一致する。我々は、同一のファージが、分類学的に異なる科に属する細菌に組み込まれている複数の例を特定し、これは、ファージが特定の種または菌株の宿主に特異的であるというドグマに疑義を呈する。さらに我々は、細菌のIS30トランスポザーゼを乗っ取ってファージの動員を仲介する新しいクラスの「IScreamファージ」について報告する。これは、ファージによる利己的な細菌エレメントの順化について、これまで認識されていなかった形態である。総合的にこれらの知見は、ヒト腸マイクロバイオームにおけるファージ–細菌動態の基本的な側面を明らかにしており、遺伝子の水平伝播や微生物ゲノムの可塑性を駆動する進化機構についての我々の理解を深めるものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度