Perspective
遺伝学:AGenDAプロジェクトによるアフリカ系ゲノムの代表性の拡充
Nature 649, 8097 doi: 10.1038/s41586-025-09935-7
調査研究や世界的ゲノムデータベースでは、アフリカ系集団の代表性は依然として低いままである。解剖学的現生人類の祖先発祥の地として、アフリカはヒトの遺伝学的多様性の点で重要な位置を占めており、数十万年にわたる人類の移動や混合、気候変動や感染症病原体への曝露を通じて深く複雑な進化を遂げてきた。しかし、アフリカにおけるゲノム多様性に関する現在の知見は乏しく、2000以上の民族言語学的集団にわたる豊富な多様性は十分に捉えられていない。代表性を高めるために、アフリカにおけるヒトの遺伝と健康(H3Africa)コンソーシアム傘下のAGenDA(Assessing Genetic Diversity in Africa)プロジェクトでは、世界のデータセットの拡充を目指して、アフリカの9カ国においてヒト全ゲノム塩基配列解読で十分に代表されていない集団を特定した。本論文で我々は、コミュニティーエンゲージメント、倫理承認の取得、法令遵守の推進、共通ガバナンスフレームワークの構築といった、AGenDAで行った過程について紹介する。AGenDAは、困難な環境で研究を行うという科学コミュニティーの決意の証である。AGenDAは、アフリカ主導で、アフリカの研究者たちがデータ共有過程の意思決定を行うことで進められている。AGenDAは、世界のゲノムデータセットにおけるアフリカ系の代表性を高めて、アフリカと世界で精密医療を可能にするためのゲノム研究を前進させる一歩となる。

