Perspective
保全生物学:保全における人種的不平等や関連する不平等に対処するための枠組み
Nature 649, 8096 doi: 10.1038/s41586-025-09892-1
2020年、ブラック・ライブズ・マター(BLM)運動と結び付いた活動の世界的な高まりによって、科学者たちは学術的「ストライキ」を実施するに至り、制度的人種差別に取り組むという倫理的責任に注目が集まった。これは保全における議論を触発し、周縁化に関する数十年の研究に緊急性が高まっている。本Perspectiveで我々は、こうした文献を概観するとともに、地域レベルから世界レベルまで、人種、階級、都市と農村の分断、国籍、権力動態が交差する中で、保全における排斥がいかに存続しているかを検討する。我々は、周縁化と「他者化」が、特にグローバルサウスにおいて、BIPOC(黒人、先住民、有色人種)のコミュニティーに過度な影響を及ぼしていることを明らかにする。保護地域を拡大したり、個々の動物の命を人間のウェルビーイングより優先したりすることで、そうした不平等が大きくなる場合がある。我々は、人権の認識と支援、地域コミュニティーの主体性の確保、BIPOCの関与における定着した規範への挑戦、BIPOCコミュニティー主導によるBIPOCコミュニティーのための教育機会の推進という、より包括的な保全の枠組みを提唱する。社会的課題や保全問題に対する米国連邦政府の支援削減を含め、世界政治が変わりゆく中で、この枠組みは人種差別や排斥に対抗する指針をもたらす。この枠組みは、保全活動を再考することによって、人々と自然の両方を尊重した持続的で公平かつ包括的な方法の構築を目指すものである。

