Article

神経幹細胞:ヒト神経オルガノイドの統合的トランスクリプトーム細胞アトラス

Nature 635, 8039 doi: 10.1038/s41586-024-08172-8

多能性幹細胞からin vitroで作製したヒト神経オルガノイドは、ヒト脳の発達や進化、病態について研究する上で有用なツールである。しかし、既存のプロトコルでヒト脳のどの部分が包含されているかは明らかでなく、オルガノイドの多様性や忠実度について定量的に評価するのはこれまで難しかった。今回我々は、26のプロトコルにわたる36の単一細胞トランスクリプトームデータセットを統合し、合わせて170万個の細胞からなる、1つの統合的なヒト神経オルガノイド細胞アトラスを作製した。このアトラスを発達中のヒト脳の参照データと対応付けることで、in vitroで作出された細胞に対応する本来の細胞のタイプと状態が示され、異なるプロトコルにわたって本来の細胞とオルガノイド細胞の間のトランスクリプトームの類似性が推定された。我々は、このアトラスを閲覧して新規のデータセットと照合するためのプログラム可能なインターフェースを提示するとともに、このアトラスが持つ、オルガノイドの細胞タイプのアノテーションを行って新たなオルガノイドプロトコルを評価する能力を例示する。さらに我々は、このアトラスが、神経疾患のオルガノイドモデルをアノテーションして比較するための多様な対照コホートとして使用できることを示し、そうした神経モデルによって疾患機序の根底にある可能性のある遺伝子や経路を特定した。今回のヒト神経オルガノイド細胞アトラスは、オルガノイドの忠実度を検討し、摂動状態や疾患状態の特徴を明らかにし、新規プロトコルの開発を進めるのに役立つだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度