Review

神経免疫学:小児単純ヘルペス脳炎における脳免疫の遺伝的異常

Nature 635, 8039 doi: 10.1038/s41586-024-08119-z

単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)脳炎(HSE)は、ヒトで最もありふれた散発性ウイルス性脳炎である。HSEは致死的で、小児期の初発感染が最初の発症ピークである。HSEの小児は、脳以外の組織へのHSV-1感染を含め、他の感染症に特にかかりやすいわけではない。小児症例の約8~10%は、19の遺伝子の単一遺伝子性先天異常が原因であり、その3分の2は潜性(劣性)で、このほとんどが臨床的に不完全浸透を示す。従って、小児HSEは散発性であるが遺伝性の場合もあり、新しい診断手法や治療手法が可能になる。本総説で我々は、HSE患者で損なわれている、脳における細胞固有の抗ウイルス免疫に必須の細胞機構および分子機構について検討する。これらの機構には、既知の抗ウイルス経路(TLR3経路の変異など)とこれまで知られていなかった抗ウイルス経路(TMEFF1制限因子など)の両方が含まれ、これらはI型インターフェロンに依存するもの(IFNAR1など)もあれば、依存しないもの(RIPK3を介するものなど)もある。これらの機構は皮質ニューロンまたは脳幹ニューロンで機能し、それぞれ前脳と脳幹の感染原因となる。逆に、骨髄系および/あるいはリンパ系の血球の完全な欠損など、白血球の最も重篤な先天異常は、HSEの原因にはならない。従って、HSEの原因となる脳常在ニューロン固有の免疫の先天性異常は、HSV-1に対する宿主の自然防御を免疫系の白血球から個体の他の細胞にまで広げている。

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