Article

発生生物学:空間および時間で分解されたヒト胚の肢の細胞アトラス

Nature 635, 8039 doi: 10.1038/s41586-023-06806-x

ヒトの四肢は受胎後4週目に間葉系の肢芽として出現し、その後の数カ月で完全な形の四肢へと発達する。この過程は、時間的および空間的に制限された多数の遺伝子発現プログラムによって調整されており、このため表現型の先天性変化がよく起こる。モデル生物を用いた数十年にわたる研究によって、脊椎動物の肢発生の根底にある基本的な機構が明らかにされてきたが、ヒトにおけるこの過程の詳細な特徴付けはまだ行われていない。今回我々は、単一細胞トランスクリプトミクスおよび空間トランスクリプトミクスを用いて、ヒト胚の肢発生を空間的および時間的に詳細に示す。我々は、細胞が、少数の多能性前駆細胞から、いくつかの新規細胞集団を含む、多種多様な分化した細胞状態へと広範に多様化することを実証する。我々は、ヒトの筋発生には2つの波が存在し、それぞれの波は別々の遺伝子発現プログラムによって調節される異なる細胞状態を特徴としていることを明らかにし、ムスクリン(MSC)が筋幹細胞のアイデンティティーを維持する主要な転写抑制因子であることを突き止めた。我々は、VisiumStitcherを用いて解剖学的に連続した多数の空間トランスクリプトーム試料を集合させることにより、胎児後肢全体の矢状切片にわたって細胞をマッピングした。我々は短指症と多合指症に結び付けられている遺伝子の間の明確な解剖学的分離を明らかにし、自脚の間葉での転写的および空間的に異なる集団を発見した。さらに、異種間の発生の比較を容易にするために、マウス胚の四肢について単一細胞RNA塩基配列解読を行ったところ、この2種の間にかなりの相同性があることが見いだされた。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度