Article

電池:水系ハロゲン化物フロー電池向けのソフト–ハード双性イオン添加剤

Nature 635, 8037 doi: 10.1038/s41586-024-08079-4

ハロゲン化物系(ハロゲン原子XはBrまたはI)のカソード液を用いた水系レドックスフロー電池は、持続可能なグリッドエネルギー貯蔵に有望である。しかし、電気化学的充電時のポリハロゲン化物の形成とそれに伴う相分離によるX2生成が、動作可能な充電状態(SoC)を制限するため、気化および自己放電非効率性につながり、全面的なデバイス故障を誘発する。今回我々は、ポリハロゲン化物を錯体化する「ソフト」カチオンモチーフと水溶性の「ハード」アニオンモチーフからなる、均一なハロゲン化物サイクルを可能にする錯化剤として、ソフト–ハード双性イオントラッパー(SH-ZIT:soft–hard zwitterionic trapper )を報告する。カチオン交換膜のクロスオーバーを防止し、電気化学的電極機構を変化させるために、300通り以上の構造が設計され、13通りの構造が特性評価されて、均一な水溶液中でポリハロゲン化物を錯体化する能力が示された。標準的なカソード液のSoC 66.6%(化学量論的にX3)におけるフロー電池のサイクル動作では、2カ月にわたって1000サイクル以上動作させた後、明白な減衰なしに40 mA cm−2で99.9%を超える平均クーロン効率が観測され、高温での安定性も実証された。興味深いことに、SH-ZITは、臭化物2 mole l−1(47.7 Ah l−1)において90% SoCまでハロゲン化物カソード液の均一サイクルを可能にしており、これまで知られていなかった研究すべきポリハロゲン化物領域が明らかになった。またSH-ZITは、均一サイクルで80% SoCにおいて最高で120 Ah l−1を超える非常に高いカソード液容量利用率を可能にするとともに、ハイブリッドフロー電池において亜鉛負極と組み合わせることもできる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度