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環境社会科学:米国における熱帯低気圧に起因する死亡数
Nature 635, 8037 doi: 10.1038/s41586-024-07945-5
自然災害は、人間社会において事象の複雑な連鎖を引き起こす。直接的な死亡や被害は災害後に直接観察され広く調べられているが、その災害に間接的に起因する、遅れて生じる付随した影響は、最初の事象までさかのぼることが困難である。熱帯低気圧(TC、すなわちハリケーンや台風、熱帯暴風雨)は全球的に広く発生し、長期にわたり経済的影響をもたらすが、それらが健康に及ぼす影響の全容はいまだ明らかにされていない。本研究で我々は、1930~2015年の全てのTCに関して、TCが米国本土(CONUS)での死亡数に及ぼした長期的影響の大規模評価を行った。その結果、それぞれの地球物理学的事象の後で、超過死亡の確実な増加が15年間持続したことが認められた。平均的なTCがもたらす超過死亡数は7000~1万1000件と推定され、これは政府統計で報告されている平均24件という直接死亡数を超えている。過去の501例のTCの影響を追跡したところ、CONUSのTC気候は未記録の死亡負荷をもたらしており、それが大西洋沿岸の高い死亡率のかなりの部分を説明し、全死亡数の約3.2~5.1%に相当すると計算された。これらの知見は、公衆衛生上のより幅広い影響においては重要視されていなかったTC気候が、CONUSにおける死亡リスク分布の根底にある重要な要因であり、特に乳児(1歳未満)、1~44歳の人々、そして黒人集団でそれが顕著であることを示唆している。TCがこうした超過死亡をもたらす原因を理解することは、公衆衛生に大きな利益をもたらすと考えられる。

