冶金学:ポリマー様の超高強度金属合金
Nature 633, 8030 doi: 10.1038/s41586-024-07900-4
モーフィング航空機や超高強度人工筋肉などの未来的な技術は、超高強度鋼のように強度がありながらポリマーのように柔軟な金属合金に依存する。しかし、強度と柔軟性の間には不可避のトレードオフがあるため、そうした「強いが柔軟な」合金の実現は困難であることが分かっている。今回我々は、σy ≈ 1.8 Gpaという非常に高い降伏強度とE ≈ 10.5 GPaというポリマーに似た超低弾性率の組み合わせとともに、約8%というゴムに似た非常に大きな弾性ひずみを示す、Ti–50.8 at.% Niひずみガラス合金を報告する。結果としてこの材料は、既存の構造材料と比較して高いσy/E ≈ 0.17という柔軟性性能指数を有する。加えてこの材料は、−80〜80°Cという広い温度範囲にわたってこれらの特性を維持することができ、高ひずみにおいて優れた疲労抵抗を示す。この合金は、工業生産ラインまでスケールアップ可能な単純な3段階熱機械的処理によって作製された。この処理は、変形強化に起因して非常に高い強度をもたらすだけでなく、少数の整列したRおよびB19′マルテンサイト「シード」が埋め込まれたひずみガラスマトリックスからなる独特な「二重シードひずみガラス」微細構造の形成によって非常に低い弾性率をもたらす。in situ X線回折法によって、この合金のポリマー様の変形挙動が、負荷時と除荷時におけるひずみガラスとRおよびB19′マルテンサイトの間の、核生成を伴わない可逆的転移に起因することが示された。大量生産の可能性を有するこのエキゾチックな合金は、モーフィング航空宇宙機、超人型人工筋肉、人工臓器など、多くの未来的技術に新たな地平を開く可能性がある。

