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ウイルス学:糖タンパク質の構造のマッピングによって明らかになったフラビウイルスの進化史

Nature 633, 8030 doi: 10.1038/s41586-024-07899-8

ウイルスの糖タンパク質は、エンベロープを持つウイルスで膜融合を促進し、宿主域や組織指向性、病原性を決定する。そうした重要性にもかかわらず、フラビウイルス科(Flaviviridae)ウイルスの糖タンパク質については断片的な理解しか得られていない。フラビウイルス科はウイルスの大きなファミリーで、その中にはC型肝炎ウイルス、デングウイルス、ジカウイルスのような病原性ウイルスに加えて、その他のヒトウイルス、動物ウイルス、新興ウイルスが多数含まれる。多くのフラビウイルスでは糖タンパク質がいまだに明らかにされておらず、ヘパシウイルスなどでは、膜融合の分子機構が明らかにされていない。今回我々は、系統発生解析とタンパク質の構造予測を組み合わせて、フラビウイルス科全体にわたって糖タンパク質を調べた。そして、非常に多様なジンメンウイルス(jingmenvirus)や大形ゲノムフラビウイルスを含めたほとんどの種に、オルソフラビウイルスのE糖タンパク質に類似したクラスII膜融合システムが存在することを見いだした。しかし、ヘパシウイルス、ペギウイルス、ペスチウイルスのE1E2糖タンパク質は構造的に異なっており、これらは新しいクラスの融合機構である可能性があるとともに、脊椎動物宿主への感染に密接に関連していることが分かった。基盤となる系統上に糖タンパク質の分布をマッピングすることにより、細菌遺伝子の獲得や属間で起こったと思われる組換えを特徴とする複雑な進化史が明らかになった。タンパク質の構造予測を通して可能になったこれらの知見によって、ウイルスの融合機構の理解が進み、ウイルス学、生態学的に多様なフラビウイルス科を形作ってきた事象が明らかになった。

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