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神経科学:細胞コミュニティーから明らかになった脳の老化とアルツハイマー病の軌跡
Nature 633, 8030 doi: 10.1038/s41586-024-07871-6
近年、アルツハイマー病(AD)は多様な細胞状態と関連付けられているが、これらの状態がいつどのようにしてADの発症に影響するのかは明らかにされていない。今回我々は、データ駆動型の手法を用いて脳の細胞環境の動態を再構築し、他の老化関連の影響とは異なる、ADへとつながる軌跡を特定した。我々はまず、437人の高齢者から採取した165万個の単一核のRNA塩基配列プロファイルを用いて、老化脳の前頭前皮質の包括的な細胞アトラスを構築し、AD関連の形質と結び付いた特定のグリア細胞とニューロンの亜集団を見いだした。次に、因果モデル化によって、2つの異なる脂質関連ミクログリア亜集団(1つはアミロイドβプロテイノパチーを引き起こし、もう1つはタウプロテイノパチーに対するアミロイドβの影響を仲介する)と、1つのアストロサイト亜集団(認知機能低下に対するタウの影響を仲介する)に高い優先順位が付けられた。我々は、細胞環境の動態をモデル化するためにBEYONDという方法論を考案し、これによって、脳老化の2つの異なる軌跡が特定された。これらの軌跡はそれぞれ、(1)AD型認知症、または(2)それ以外の脳の老化につながる特定の細胞コミュニティー内での協調的で進行性の変化によって定義付けられる。従って本研究は、ADの病態生理学について新たな視点をもたらす細胞レベルの基盤となり、ADに向かう人とAD以外の脳老化に向かう人とで異なる細胞コミュニティーを標的化する個別化治療の開発に情報を提供するものである。

