Article

免疫学:非対称細胞分裂を介したCD8 CAR T細胞での運命誘導

Nature 633, 8030 doi: 10.1038/s41586-024-07862-7

初期の増殖と長期的な持続性はキメラ抗原受容体T細胞(CART)の有効性を予測するが、エフェクターCARTと記憶CART分化を決定する機構や、非対称細胞分裂がヒトCARTにおいて異なる運命を誘導するのかどうかについてはまだ明らかではない。本論文で我々は、標的によって誘導される近接依存性標識によって、CD8 CARTの最初の分裂で生じる近位娘細胞と遠位娘細胞の単離が可能になり、これらの細胞では細胞表面のプロテオームおよびトランスクリプトームが非対称に分配されることで、運命の分岐が起こることを示す。標的に結合したCARは近位娘細胞上に留まり、この細胞は活性化された分裂前のCARTに類似した細胞表面プロテオームを受け継ぐが、一方で内因性のT細胞受容体とCD8は遠位娘細胞上に集積し、その細胞表面プロテオームは静止状態のCARTに類似しており、近位娘細胞は解糖代謝、遠位娘細胞は酸化的代謝と相関していた。遠位娘細胞は、記憶前駆細胞の表現型やin vivoで長寿命を示すにもかかわらず、近位娘細胞と同等に強力な一過性の細胞傷害活性を示し、記憶CARTとなることが運命付けられた遠位娘細胞におけるエフェクター様の状態が明らかとなった。既存の転写産物の分配とRNA速度の変化の両方が運命決定因子の非対称性に寄与しており、正反対の転写の軌跡をもたらした。近位娘CARTは細胞表面の免疫表現型がナイーブ、記憶、エフェクターのいずれであっても、増殖やエフェクター機能を支えることが知られている中核的な転写因子群を使う。反対に、遠位娘細胞に豊富な転写因子は、分化を抑制し、長寿命を促進する。これは、IKZF1欠損後、遠位娘CARTのin vivoでの長期間の持続性や機能が低下することからも明らかである。これらの研究は、非対称細胞分裂はCART分化の機構を理解し、治療転帰を改善するための枠組みとなることを示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度