生物地球化学:海洋生物ポンプの炭素フラックス減衰を駆動する要因の解明
Nature 633, 8030 doi: 10.1038/s41586-024-07850-x
生物ポンプは炭素を海洋内部へと供給し、長期の炭素隔離を駆動して深海生態系にエネルギーを供給している。その効率は、真光層内に新たに形成された粒子の変換とその後の中深層過程を介した鉛直フラックスの減衰により設定される。粒子状有機炭素(POC)フラックスの深部での減衰は、動物プランクトンもしくは微生物またはその両方を含む複数の過程により調節される。それにもかかわらず、経験的に求められた関係式である「マーチンカーブ」によるパラメーター化が主として使われ続けており、これに由来するべき乗指数は、海洋領域にまたがりフラックスの減衰パターンを比較するために用いられる標準的な測定基準となっている。本論文で我々は、中深層の複数の深度に設置した、微生物が媒介するPOCフラックスの減衰を測定する、粒子捕集器と培養器からなる装置C-RESPIREによるin situ実験で得られた知見を提示する。我々は、POCフラックスの30倍の範囲に相当する、6つの対照的な海洋領域にわたって、粒子に付着した微生物による分解がフラックスの減衰の7~29%を占めることを見いだした。これは、フラックスの減衰では動物プランクトンがより影響の大きい役割を果たすことを示唆している。POCフラックスで正規化した微生物の再無機化は、場所と深さにわたって20倍の幅があり、高POCフラックスの所で最も低い速さであった。鉛直方向の傾向は最大3倍の変化があり、低緯度の場所では強い温度勾配と関連があった。対照的に、中緯度および高緯度の場所では温度の役割はより小さく、そこでは鉛直方向の傾向は、粒子の生物化学的性質、破砕および微生物の生態生理学の共同によって定まっていた。マーチンカーブのこうした脱構築によって、海洋のさまざまな領域で微生物を介したPOCフラックス減衰を駆動する基盤となる複数の機構が明らかになった。

