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構造生物学:コカインと複合体を形成したヒトドーパミン輸送体の構造
Nature 632, 8025 doi: 10.1038/s41586-024-07804-3
ドーパミン輸送体(DAT)はドーパミンシグナル伝達の調節に極めて重要であり、コカインの報酬効果と嗜癖効果の主なメディエーターである。神経伝達物質ナトリウムシンポーターファミリーの1つとして、DATはドーパミンをその化学勾配に反して輸送するために、細胞膜を横切るNa+勾配を用いている。この輸送機構には、中央の部位への基質の接近を制御する細胞内と細胞外のゲートの両方が関わっている。しかし、この過程の分子レベルでの詳細とコカインによる阻害機構は、はっきりしていない。今回我々は、コカインと複合体を形成したヒトDATの2.66 Å分解能での分子構造を示す。我々の知見により、DATは予想されたようにLeuTフォールドをとっていて、中央(S1)の部位にコカインが結合した外向きに開いた構造をとっていることが明らかになった。1個のNa+が2番目のNa+部位(Na2)を占めている一方で、Na1部位は空いているように見え、Asn82の側鎖がNa+が占めるスペースと思われる空間を占拠している。この構造学的知見によって、ヒトDATのコカインによる阻害の機構が説明され、神経伝達物質輸送についての我々の理解が深まった。コカインの作用機構の分子レベルでの基盤を明らかにした我々の研究により、嗜癖治療のための標的薬開発の基盤が置かれた。

