Article
量子コンピューティング:1 Kを超える温度での高忠実度スピンキュービットの操作とアルゴリズムによる初期化
Nature 627, 8005 doi: 10.1038/s41586-024-07160-2
半導体スピン担体にキュービットを符号化することは、リソグラフィーによって製造して大規模に集積できる商用量子コンピューターへの有望な手法として認識されている。しかし、有利な量子応用に必要な多数のキュービットを操作すると、ミリケルビン温度で利用できるクライオスタットの冷却能力を超える熱負荷が生じる。大規模化が加速するにつれて、冷却能力が桁違いに上がる1 Kを超える温度でのフォールトトレラントな操作の確立が不可欠になる。今回我々は、1 Kを超える温度でのフォールトトレラントな操作に要求される範囲の忠実度で、シリコンのスピンキュービットをそうした温度で調整し、操作した。我々は、熱エネルギーがキュービットのエネルギーを大きく上回っていても純粋な2キュービット状態を準備する、アルゴリズムによる初期化プロトコルを設計し、高周波読み出しを組み込んで、読み出しと初期化の両方で最高99.34%の忠実度を達成した。我々はまた、最高99.85%という単一キュービットのクリフォードゲートの忠実度と、最高98.92%という2キュービットゲートの忠実度も実証した。こうした進展によって、高忠実度の操作を可能にするには熱エネルギーがキュービットのエネルギーより十分に低くなければならない、という基本的な制限が克服され、拡張可能でフォールトトレラントな量子計算への道に立ちふさがる大きな障害が乗り越えられる。

