分子生物学:複製フォークで捉えられた親鎖ヒストンの移動
Nature 627, 8005 doi: 10.1038/s41586-024-07152-2
真核生物では、DNAはヌクレオソームを介してクロマチンへと凝縮されている。そのため、真核生物ゲノムの複製は、クロマチンにコードされたエピゲノムの伝達と共役されなくてはならない。今回我々は、FACT(facilitates chromatin transaction)複合体(Spt16とPob3で構成される)や親鎖から外されたヒストン六量体と結合した状態の出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)レプリソームのクライオ電子顕微鏡構造について報告する。これらの構造中で、FACTは親DNA二本鎖と結合することによってレプリソームの前端に位置し、Spt16の中央ドメインと酸性カルボキシ末端ドメインを介してヒストンを捕捉している。Spt16のカルボキシ末端ドメインがシャペロンとなったH2A–H2B二量体は、H3–H4四量体に安定に係留されていて、空になったH2A–H2B部位はMcm2のヒストン結合ドメインによりふさがれる。このMcm2のヒストン結合ドメインは、1個のH3–H4二量体のDNA結合表面に巻き付き、H3–H4四量体の四量体形成境界面を横切ってSpt16の中央ドメインの結合部位へと伸び、その後は一定の構造をとらなくなる。このような配置によって、もう1つのH3–H4二量体の残ったDNA結合表面が露出したままになり、以降の過程でさらに相互作用できる。Mcm2のヒストン結合ドメインとその下流のリンカー領域は、Tof1の上で入れ子になっており、新たに合成されたラギング鎖DNAへの移行に備えて、レプリソームの前端に親ヒストンを再配置する。これらの知見から、エピジェネティック遺伝を維持するために複製と共役してヒストンを再利用する機構について、重要な構造的手掛かりが得られた。

