Article

量子コンピューティング:高しきい値かつ低オーバーヘッドのフォールトトレラント量子メモリー

Nature 627, 8005 doi: 10.1038/s41586-024-07107-7

物理誤りの蓄積は、現在の量子コンピューターにおける大規模アルゴリズムの実行を妨げる。量子誤り訂正は、物理誤りを十分抑制して許容忠実度で目的の計算が実行可能になるように、k個の論理キュービットを、より多数のn個の物理キュービット上に符号化することで解決策となると期待されている。量子誤り訂正は、物理誤り率が量子符号、シンドローム測定回路、復号アルゴリズムの選択に依存するしきい値を下回ると、実用的に実現可能になる。今回我々は、低密度パリティ検査符号ファミリーに基づいてフォールトトレラントメモリーを実装する、エンドツーエンド量子誤り訂正プロトコルを提示する。我々の手法によって、標準回路ベースの雑音モデルについて0.7%の誤りしきい値が達成された。これは、誤りしきい値の観点から20年にわたって主流の符号であった表面符号と同等の値である。今回のファミリーにおける長さnの符号についてのシンドローム測定サイクルには、n個の補助キュービットと深さ8のCNOTゲート回路、キュービット初期化、測定が必要である。必要なキュービット連結性は、2つの辺素平面サブグラフからなる次数6のグラフである。特に、物理誤り率0.1%を仮定すると、合計288個の物理キュービットを用いて12個の論理キュービットを約100万シンドロームサイクル維持できることが示された。その一方で、表面符号では、上述の性能を達成するには約3000個の物理キュービットが必要であると思われる。今回の研究結果によって、当面の量子プロセッサーの手の届く範囲で、低オーバーヘッドのフォールトトレラント量子メモリーの実証が可能になる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度