物性物理学:全電気的スキルミオン磁気トンネル接合
Nature 627, 8004 doi: 10.1038/s41586-024-07131-7
磁気スキルミオンなどのスピンのトポロジカルな渦、すなわち「テクスチャー」は、実現可能な最小の創発的な磁気的実体である。こうしたスピンテクスチャーは、持続可能なコンピューティングに向けたロバストでナノメートルスケールの可動ビットとして、大いに期待されている。その可能性を引き出すのを阻むかねてからの障害は、個々のスピンテクスチャーの決定論的な電気的読み出しを可能にするデバイスが存在しないことである。今回我々は、単一のアンビエントスキルミオンを保持するナノスケールのカイラル磁気トンネル接合(MTJ)を、ウエハースケールで実現したことを報告する。我々は、一連の電気的技術とマルチモーダル画像化技術を用いて、このMTJが、極性の固定されたスキルミオンを核生成し、一様に磁化された状態に対して20~70%というその大きな読み出し信号が、スキルミオンのサイズに直接対応していることを示す。このMTJは、相補的な核生成機構を利用して、異なるサイズのスキルミオンをゼロ磁場で安定させ、それによって3つの不揮発性の電気的状態が実現される。重要なのは、このMTJが、最先端のものの1000分の1のスイッチングエネルギーで、一様な両状態にスキルミオンを電気的に書き込み、消去できることである。ここでは、印加電圧が磁場をエミュレートしており、従来のMTJとは対照的に、スイッチング遷移のエネルギー過程と運動学的過程の両方を作り変え、決定論的な双方向スイッチングを可能にしている。我々の積層プラットフォームは、大きい読み出しと効率的なスイッチングを可能にし、スキルミオンビットの横方向操作と互換性があり、全電気的スキルミオンデバイスアーキテクチャーの待ち望まれた重要要素となる。そのウエハースケールでの実現可能性は、多ビットメモリーや非従来型コンピューティングにカイラルスピンテクスチャーを利用する足掛かりとなる。

