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分子生物学:脳発生中のKDM5CによるWNTシグナル伝達の制御は認知機能に影響を及ぼす

Nature 627, 8004 doi: 10.1038/s41586-024-07067-y

KDM5Cは、X染色体連鎖性の知的障害において最も高頻度で変異が見られる遺伝子の1つだが、それが認知機能障害につながる正確な機構は分かっていない。今回我々は、ヒト患者由来の人工多能性幹細胞とKdm5cノックアウトマウスを用いて、細胞、トランスクリプトーム、クロマチン、行動の研究を行った。その結果、KDM5Cは神経発達が適切な時間スケールで進むのを保証する安全装置であり、その故障が知的障害につながることが分かった。具体的には、KDM5CがWNT出力を直接制御して、一次前駆細胞から中間前駆細胞への適切な時期での移行を調整し、神経発生を進める、発生上の時間枠が存在する。WNTシグナル伝達調節因子を特定の時期に投与したところ、カノニカルなWNTシグナル伝達経路を一時的に変更するだけで、患者由来細胞のトランスクリプトームおよびクロマチンの機能景観を救済し、野生型細胞でこれらの移行を起こすのに十分であることが明らかになった。また、この発生期におけるWNTの阻害でも、Kdm5cノックアウトマウスの行動変化が救済されたことは重要である。逆に、野生型マウス胚の脳にWNT3Aを1回投与すると、不安や記憶の変化が引き起こされた。我々の研究は、KDM5Cが神経発達の極めて重要な監視役であることを明らかにしており、KDM5Cの変異に関連した知的障害に新たな光を投じている。今回の結果はまた、WNT機能の一過的な性質が長期的に認知機能に影響を及ぼすことを明らかにしており、記憶や不安の形成に関する一般的な理解を深めている。

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