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神経科学:固執行動をゲーティングするCrym陽性の線条体アストロサイト
Nature 627, 8003 doi: 10.1038/s41586-024-07138-0
アストロサイトは、中枢神経系の不均一なグリア細胞群である。しかし、アストロサイトの多様性と神経回路や行動との生理的な関係は、まだよく分かっていない。今回我々は、線条体中央部の特定のアストロサイト集団が、精神神経疾患を含む複数のヒト疾患に関連付けられているμ-クリスタリン(マウスではCrym、ヒトではCRYMにコードされている)を発現していることを示す。成体マウスで、CrymをCRISPR–Cas9法によってノックアウトし、線条体アストロサイトのμ-クリスタリンのレベルを下げると、固執行動につながり、中型有棘ニューロンの速いシナプス性興奮が増し、興奮–抑制間のシナプスバランスが崩れた。固執の増加は、眼窩前頭皮質–線条体投射でシナプス前終末からの神経伝達物質放出を制御しているアストロサイトのゲーティング機能が失われることに起因する。固執は、化学遺伝学的にシナプス前抑制をかけることで緩和でき、この処置でシナプスの異常も修正されることが分かった。総合すると今回の知見は、分子的に決定・配置されている線条体アストロサイトの一群が、精神神経疾患に付随する固執の表現型をゲーティングする、分子的、シナプス的、回路的、行動的なの機構の収歛を明らかにしている。これらのデータは、Crym陽性の線条体アストロサイトが、中枢神経系内で重要な生物学的機能を持つことを示すとともに、固執症状の治療で標的となり得るアストロサイト–ニューロン相互作用の機構を明らかにしている。

