エピジェネティクス:ヒットエンドラン型のエピゲノム編集によるin vivoでの持続的で効率の良い遺伝子サイレンシング
Nature 627, 8003 doi: 10.1038/s41586-024-07087-8
転写リプレッサーを持つプログラム可能なエディターを使った永続的なエピジェネティックな遺伝子サイレンシングは、ヒト疾患の治療に役立つと大いに期待されている。しかし、この治療法の可能性を最大限に引き出すには、in vivoで、エディターの一過的な送達後に、エピジェネティックなサイレンシングが持続することを実験的に確かめる必要がある。そのため、今回我々は、肝細胞で発現されてコレステロールの恒常性に関わる遺伝子Pcsk9に狙いを定めた。さまざまな設計のエディターについてin vitroでスクリーニングしたところ、ジンクフィンガータンパク質が、マウスのPcsk9の効率の良いサイレンシングに最もうまく働くDNA結合プラットフォームであることが分かった。マウスでは、このエディターのmRNAを積み込んだ脂質ナノ粒子を1回投与しただけで、ほぼ1年にわたってPCSK9の血中濃度がほぼ半分に低下した。興味深いことに、Pcsk9のサイレンシングと付随するエピジェネティックな抑制標識は、肝臓を再生させた後も持続しており、新たに導入したエピジェネティックな状態の遺伝性がさらに裏付けられた。コンストラクトの設計を改良することで一体型構成の開発につながり、我々はこれをEvoETR(evolved engineered transcriptional repressor)と名付けた。この設計の特徴は高い特異性プロファイルであり、マウスの循環血中PCSK9濃度をさらに低下させ、これは従来の遺伝子編集によって得られる効率と同等で、しかもDNA切断を起こさない。これらの知見から、エピジェネティックなサイレンシングを利用したin vivoでの治療法の開発に役立つ基盤が得られた。

