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化学:分子イオンの生成と構造変換を捉える

Nature 625, 7996 doi: 10.1038/s41586-023-06909-5

分子イオンは遍在しており、多くの反応において、特に大気化学や星間化学との関連で、極めて重要な役割を果たしている。しかし、分子イオンの構造とコンフォメーション遷移は、特に気相においては、実験が困難なため中性分子ほどは調べられていない。その代表例がハロニウムイオンである。ハロニウムイオンは、反応性が高くて環ひずみがあるため、短寿命の中間体であり、弱い求核剤によってさえ容易に攻撃されることから、さらなる反応が起こる前に単離や捕捉することが困難である。今回我々は、メガ電子ボルトの超高速電子線回折(MeV-UED)を共鳴増強多光子イオン化と併用することによって、1,3-ジブロモプロパン(DBP)カチオンの形成と、ハロニウムイオンを形成するその後の構造ダイナミクスをモニタリングできることを示す。我々は、DBP+カチオンが、3.6 psというかなりの時間、適切に名付けられた「ダーク状態(dark state)」のままであり、この状態がDBP電子基底状態と構造的に区別できないことを見いだした。得られた構造データは、表面ホッピングシミュレーションや第一原理計算の結果によって裏付けられ、これにより、このカチオンが次に、ゆるく結合した臭素原子を含む4員環を持つまれな中間体iso-DBP+へと脱励起し、最終的にこの臭素原子を失って3員環構造のブロモニウムイオンを形成することが明らかになった。我々は、今回用いた手法が他の分子イオンの構造ダイナミクスの調査にも適用でき、それによってイオン化学の理解を深めることができると予想する。

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