生理学:鼻咽頭リンパ管叢は脳脊髄液ドレナージのハブである
Nature 625, 7996 doi: 10.1038/s41586-023-06899-4
脳周囲のくも膜下腔中の脳脊髄液(CSF)は、リンパ管を通って頸部リンパ節へと流出することが長く知られているが、その接続と調節を明らかにするのは難しかった。今回我々は、Prox1-GFPリンパ管レポーターマウスにおいて蛍光CSFトレーサーを用い、鼻咽頭リンパ管叢が深頸部リンパ節へのCSF流出の主要なハブであることを見いだした。このリンパ管叢は、独特な弁と短いリンパ管分節(弁と弁の間の部分)を持ち、平滑筋には覆われていないのに対し、下流の深頸部リンパ管は、典型的な半月弁と長いリンパ管分節を持ち、平滑筋に覆われていて、これがCSFを深頸部リンパ節に輸送する。平滑筋細胞でのαアドレナリン作動性および一酸化窒素シグナル伝達は、深頸部リンパ管の輸送特性を通じてCSFドレナージを調節する。加齢に伴い、鼻咽頭リンパ管叢は萎縮したが、深頸部リンパ管は同様の変化を受けず、CSFの流出は、アドレナリン作動性あるいは一酸化窒素シグナル伝達によって依然として増加させることができた。老齢マウスでの鼻咽頭リンパ管叢のリンパ管内皮細胞における遺伝子発現の単一細胞解析では、I型インターフェロンシグナル伝達や他の炎症性サイトカインが増加していることが明らかになった。鼻咽頭リンパ管叢がCSF流出のハブとして機能していることを示す証拠の重要性は、加齢に伴うその退縮から明らかである。しかし、加齢で鼻咽頭リンパ管叢が退縮した後でも、深頸部リンパ管からリンパ節への輸送の加齢抵抗性の薬理学的活性化によってCSF流出を増加できるため、排出の増加が有益である加齢関連の神経学的状態においてCSFクリアランスを強化する手法がもたらされる。

