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古代DNA:古代ユーラシア人の選択の全体像と遺伝的遺産
Nature 625, 7994 doi: 10.1038/s41586-023-06705-1
約1万2000年前に始まった完新世には、人類の進化において極めて重要な変化のいくつかが起こっており、そうした変化は現代人集団の食、体、精神の健康に広範な影響をもたらした。今回我々は、インピュテーションが行われた1600例以上の古代人ゲノムのデータセットを用いて、西ユーラシアの各地で狩猟採集から農耕牧畜への移行期に起こった選択の状況をモデル化した。その結果、FADSクラスターの選択が以前報告された時期より前に始まったことや、LCT座位付近の選択がラクターゼ持続性対立遺伝子の出現よりも数千年早かったことなど、代謝に関連する重要な選択のシグナルが複数見つかった。さらに、HLA領域にも強い選択が見いだされ、これは青銅器時代における病原体への曝露の増加に起因した可能性がある。古代人のデータを用いて、英国バイオバンクの40万を超える試料における局地的な祖先系統のトラクトを推測したところ、ユーラシアの各地で中石器時代、新石器時代、青銅器時代の祖先系統の分布に幅広い相違が見られることが分かった。我々は、祖先系統に特異的な多遺伝子リスクスコアを計算し、北ヨーロッパと南ヨーロッパでの身長の差が選択ではなくステップ祖先系統の差違と関連すること、また、気分に関連する表現型のリスク対立遺伝子が新石器時代の農耕民系統で豊富に見られるのに対し、糖尿病やアルツハイマー病のリスク対立遺伝子は西部の狩猟採集民系統で豊富に見られることを示す。今回の結果は、現代ヨーロッパ人の表現型多様性の分布に、古代の選択と移動が大きく寄与したことを示している。

