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化学:芳香族性シクロ[10]炭素とシクロ[14]炭素の表面合成
Nature 623, 7989 doi: 10.1038/s41586-023-06741-x
フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェンなどの、炭素だけからなるsp2混成原子系材料は、その注目すべき物理化学的特性や応用の可能性から、研究が進んでいる。2配位sp混成原子からなるシクロ[n]炭素(Cn)は、別の珍しい全炭素同素体群である。20世紀以降、Cnは気相において研究されてきたが、その反応性の高さから、凝縮相での合成と実空間での特性評価が困難であり、正確な分子構造には議論の余地がある。表面で孤立C18が合成され、そのポリイン構造が結合分解原子間力顕微鏡法で明らかにされたのは、2019年になってからにすぎない。その後、最近になって、C16に関する報告がなされている。このC18の研究が、C100までのシクロ[n]炭素の構造を明らかにする理論研究のきっかけとなったが、より小さいCn同素体の合成と特性評価は依然として困難である。今回我々は、以前の表面合成法を改良して、シクロ[10]炭素(C10)とシクロ[14]炭素(C14)を、それぞれ完全に塩素化されたナフタレン(C10Cl8)とアントラセン(C14Cl10)から、探針誘起脱ハロゲン化とレトロバーグマン開環によって合成した。我々は、原子間力顕微鏡画像化と理論計算を用いて、C18やC16とは異なり、C10はクムレン構造、C14はクムレン様構造をとることを示す。今回の結果によって、表面でシクロ炭素を合成する代替戦略が実証され、環状炭素同素体の構造や安定性を評価する手段がもたらされた。

